商売心得帖 松下幸之助 kou’s 書籍レビュー

商売心得帖 松下幸之助 kou'sレビュー Kou’s特選!おすすめ本

著者/松下幸之助 発行者/江口克彦 発行所/PHP研究所

「商売」の目的とは?

商売をする目的はそれぞれにあると思いますが、その発展の道中には様々に起こり得る事象や、問題の数々、その全ては起きるべくして起こり得るものや事象だといえるのではないかと考えます。
本書に書かれている実体験をもとにした松下幸之助氏の考え方は、商売を営む方々のみならず、社会全体の生成発展に貢献する理念と言ってもいい内容となっています

以下に、本文中から印象に強く残った5篇を紹介させていただきます。
私自身の解釈もあわせて記述させていただきますので、是非、最後までお読みいただき、全ての方がより豊かに前向きな人生を送られる一助になれば幸いです。

どれほど喜ばれているか

日々の商売を進めていく上で大事なことはいろいろありますが、その一つとしてつぎのようなことがあげられると思います。それは、今営んでいる自分の店ははたしてどれぐらいお得意先のお役に立っているか、どれほど喜ばれ感謝されているかということを、いろいろの角度から絶えず検討し、自問自答してみるということです。

お客様あっての商売ですが、これがいざ仕事となると自分目線で事を運んでしまうといった場面には自他ともにもこれまで多く経験してきました。
「これが売りたい」「これだけ売りたい」などと「我」を出し、事を運ぼうとしたり、「こう並べた方が見栄えがいい」「ここにはこれを並べて・・・」と、自分の感覚を優先したりします。
熱心なのは結構ですが、はたしてその考えや行動は、お客様の目線に立てているのだろうか?
はたしてそのお店、売場なりは、お客様にとって価値あるものを提供できているのだろうか?
と、自分の行動一つ一つにフォーカスし、時には反省し改善を繰り返すところに、お客様に喜ばれ長年にわたって支持を得られるお店なり売場として、繁栄の続く道があるように思います。

商品を大切に

人間というものは妙なもので、ここにかりに千円札があるとしますと、これは決して粗雑に扱いません。ところがこれが商品となると、なんとなく粗雑になってくる。千円の値うちのある商品は、これは千円札と同じなんだというほどの思いがない。だからついほったらかしにする。埃もかぶったままで、キチンと整理もせずに、店のすみで軽くあしらわれてしまうというようになりがちです。

商売を営む者であれば「商品」こそ、自分や家族の血や肉となる「命」といっても過言ではないと考えます。
これはどんな職業でさえも当てはまることで、営業マンなら自社の商品、技術職や職人さんなら、自分の仕事道具を大切に扱うことなどともいえるのではないでしょうか。
商品や道具などを大切にできない者の行った仕事は、低品質な仕事として顕著に結果に表れ、仕事で事をなすことも大成することもとうてい成し得ないと考えます。
現役で仕事をする身であれば、常に自問自答を繰り返すべき大切なことだと思います。

不景気だからこそ

たとえば「不景気もまたよし、不景気だからこそ面白いんだ」という考え方が、一面できないものでしょうか。「世間が不景気だから、自分の店が不景気になるのも仕方がない」とあきらめたり、あるいは「困ったことだ」と右往左往すればお店はその予測のとおりになりましょう。しかし、「不景気だからこそ面白いんだ、こんなときこそ自分の実力がものをいうのだ」と考えて、さらに商売に励むならば、そこには発展、繁栄する道がいくらでもあると思うのです。

不景気となり、商品が思うように売れなくなると、やはり気は沈みがちになり、新たなアイディアを模索するといったモチュベーションも湧かなくなったりするかもしれません。
しかし、そんなときこそちょっと目線を変えて普段ならやらないこと、考えるが後回しにしたりしていることなどに手をつけてみるといった行動の中に、状況改善の道があるように思います。

景況が変われば、人の思考や行動も変わって当然で、好況時の思考や行動が通用しなくなるのも当然であると分かれば、そこにこそ現状打開の策のヒントがあると考えられます。
単純に不況時でもポジティブに考えましょうということではなく、ある意味、逆転の発想こそに一筋の光が見えているように思いますがどうでしょうか。

利は元にあり

お互い商売を営む者は、よい品物を安定的に供給してくださる仕入先を求め、その仕入先を、品物を買ってくださるお得意先と同じように大切にしていくことが肝要だと思います。そういう気持ちがないと、結局は商売は繁盛しないといえましょう。これはいわば分かりきったことかもしれません。しかし、その分かりきったことが、さてとなるとなかなか実行されていないのが、今日の日常ではないでしょうか。

メーカーや仕入れ先は、買ってもらいたいがために低姿勢になる場面も多く目にしてきましたが、仕入担当者もこのことを謙虚に受け止めて事に当たるといった姿勢がなくてはならないと考えます。
共存共栄という言葉があてはまるかどうか分かりませんが、仕入れ先といえども人対人の商売であることを忘れてはならず、良好な人間関係が築かれていてこそ、高品質の商品を適正価格での取引が成立する最低限の条件ではないかと考えます。
自分ならお客として、こういったことがごく自然に行われているお店を利用したいですし、きっとそのお店で働く従業員も活き活きと活躍されているのではないかと想像できます。

好きこそものの上手なれ

まず商品説明にみずから興味をもち、それを好きになることです。好きになれば努力することが苦にならない。むしろ楽しくなる、その結果、説明力も向上する。「好きこそものの上手なれ」という言葉がありますが、まさにそのとおりだと思います。
商売を繁栄させたいと思えば、まず商売を好きになること。そしてただお義理や飯のタネにするために事を運ぶというのではなく、誠心誠意それに打ち込むこと。そこにこそ繁栄への一つの道があると思います。

どんな仕事をするにしても、「好き」であることは自分自身のためにも大切であると考えます。
最初から「好き」で就いた仕事なら問題ないですが、なんとなくこの仕事をしているといった人はやはり、「好き」になる努力をすべきで「好き」になった方が自分にとっても大いに得だと思います。
惰性で仕事をしていれば当然、創意工夫などといった行動も生まれにくいですし、何より毎日が楽しくありません。
その仕事を「好き」になるには、どんなささいなことでもいいので、興味を持ってそれについて調べてみて、自分なりの解釈を見つけていく作業を繰り返すことが最善の道と考えます。
その行動を繰り返すことで思考のクセが変わり、仕事に対する意識にも変化が出てきます。
その意識の変化を実感できる頃には、仕事が「好き」だと言えるようになっているでしょうし、仕事を「好き」になってしまえば、毎日が楽しくなって見える周りの景色も激変すると思います。

本書を読み終えて kou’s書評

商売心得帖は、松下幸之助氏が商人としての持つべき考え方を記述した書籍ですが、読み終えて考えるのは、どんな仕事であれ、ひいては社会全体にも通ずる深い理念があるように思います。
商品やものを大切にする心や、商売は人対人の社会的営みであること、そして何をするにしてもそれを「好き」になることで様々に創意工夫が生まれていきます。
そういった全ての思考や行動は、結果、社会の生成発展に大いに貢献しているという考え方に、松下幸之助氏独特の人情の機敏を知りながらも、社会という大海を仰ぎ見る大きな視点に、相変わらず感銘は尽きません。

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商売を営む方はもちろん、様々な職業や立場にいらっしゃる全ての方々にも是非、読んで頂きたい一冊です。
最後までお読みいただきありがとうございました。

商売心得帖 松下幸之助 kou'sレビュー
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