ぜんぶ、すてれば 中野義壽 書籍レビュー

ぜんぶ捨てれば kou'sレビュー Kou’s特選!おすすめ本

著者/中野義壽 発行所/ディスカバー・トゥエンティーワン

「捨てる」ことで生まれる新たな価値

不確実で変化の激しい時代。
個人の力が試される時代。
人生100年への備えが必要な時代。

日々の膨大な情報に対応し、新しい技術や価値観へのアップデートが求められる。
過去の事例にはもはや頼れない。ロールモデルも、人生プランも、描けない。

自分の意見や考えをを持ち、世の中に発信しなければならない。
しかし、実績も経験もなく、自信がない。

先の見えない将来のことを考えると、不安で頭がいっぱいになり、疲弊してしまう。

こんな時代で生き残るには、どのような知識を持ち、
いかなる力を身につけなければならないのか。

一瞬で引き付けられてしまう冒頭の一篇です。
実業家である中野善壽氏は、伊勢丹、鈴屋で新規事業立ち上げと海外進出を成功させ、2011年、寺田倉庫の代表取締役社長兼CEOを経、その人柄と独自の手腕、改革的な発想でもって老舗企業を機動力溢れる組織へと変貌させ、各界の著名人に慕われつつも、メディアなどにはほとんど姿を現さないなどという、異端の人物である中野善壽について関心を抱かざるを得ません。

本書は、中野善壽氏の思考、信念、などをまとめた短篇集ですが、混迷を極める現代社会を、私たちが前向きに且つ、楽しみながら生きていくためのヒントに大いになり得るでしょう。
特に印象に残った5篇を紹介させて頂きます。

今日できることは、今すぐやる。明日死ぬかもしれないから。

「明日がある」という希望は持つべきだけれど、本当に明日が来ると信じてはいけない。
僕は75年以上を生きてきたから、「明日が来ること」が絶対ではないのだとわかります。
今日できることは、今日のうちやる。今すぐやる。
「何から先にやればいいのか」なんて考えなくていい。
思いついた順に、なんでもすぐやれば、後悔することはありません。

kou
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誰しもが人生は有限であり、生まれるとともに確実に死に向かって日々を生きています。そう考えると与えられた一日一日を大切に真剣に生きるべきだと改めて考えさせられます。
「やりたいこと」「やるべきこと」を先延ばしにしてはいないだろうか?
人生の終焉を迎える際、後悔することが無いように、
「今日できることは今すぐやろう!」

人の評価は気にしない。自分自身が納得できるか。

人にどう思われようが、関係ない。僕はそういう性格です。
相手が上司だろうが、先輩だろうが、「こんなことを言ったら、悪く思われるんじゃないか」
と心配して口をつぐむようなことは、若い頃からほとんどありませんでした。
数年長く生きただけの先輩と僕の考えに、天と地ほどの差はないだろうと思っていましたから。
自分自身が納得できないことだけは絶対にしたくない。
自分に対して恥ずかしいことは、誰に何を言われようがやりたくない。
そういう気持ちが強いんでしょうね。

kou
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ほとんどの人が、他人から「嫌われる」ことを恐れているのではないだろうか?
他人に良く思われたいがために、言いたいことも言わず、自己を消して生きている人が多いのではないだろうか?
他人に好かれることに労力を割くよりも、自分らしい人生をいきていくこと注力した方が、豊かで納得のいく人生を送れるのだと考えます。
たとえ多くの批判を浴びたとしても、そんな姿勢に少数でも共感してくれる人たちが必ず現れるものだとも言えるでしょう。

会社はただの箱でしかない。愛社精神なんて持たなくていい。

自分は何のために働くのか。答えは一つ。自分のため。「会社のため」じゃない。
「家族のため」というのも、ちょっとあやしい。
自分が好きで、楽しいから、目の前の仕事をやっている。
会社というのは、人間が仕事を楽しくするための手段であり、ただの〝箱〟でしかない。
人が中心で、会社が道具。この関係性を間違えないようにしたいですね。

kou
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会社は自然界に最初からあったものではなく、人間によってつくられたシステムなのだから、人間が会社に使われてはならず、「会社のため」と身を犠牲にして働いたり、愛社精神を強いるのもおかしいと仰っています。
それはドライに仕事にあたれということではなく、「働く主は、あくまで自分である」と認識しておくこと。
「どうしても今日中にやり遂げたい」「自分からやりたいからやっている」という思いで仕事に取り組むのであれば、本人は夢中であるし、苦痛も感じないでしょう。
「やらされている仕事」と「自ら取り組む仕事」とでは、そのプロセスも結果も、天と地ほどの結果となるのだろうと考えます。

こだわりを捨て、相手が求めるものを差し出す。

日本で成功した店を海外にも広げようとしても、なかなかうまくいかないという話をよく聞きます。
僕はアジア、ヨーロッパ、アメリカといろんな国で店の仕事をやってきたけれど、すごく苦労したという思い出はない。一番大事なのはこだわりを捨てること。
相手が求めていないものを差し出したってしょうがない、その地域の文化に馴染んで、そこに暮らす人たちにローカルの店だと思ってもらい、結果として日本の役に立てればいい。
「日本らしくいこう」と戦略を固めて乗り込むんじゃなく、水が高いところから低いところへ流れるように、どんな形にでも変われるしなやかさを持つことが秘訣なんじゃないかと思います。

kou
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ビジネスを成功、継続させるためになくてはならない、共通する考え方なのではないでしょうか。
媒体は何であれ、お客様のニーズに寄り添うことが第一であって、且つ、場所や時流の諸条件に応じて、臨機応変に対応できるしなやかさを兼ね備えることで、お客様にとっての価値の提供につながるのだと考えます。

お金の使い道は、自分の心が決める

貯金は昔からしない主義です。
自分一人が生活するのに必要最低限の現金を残して、あとは寄付と若手アーティストの応援目的で、アートの購入に使うだけ。
蓄財したところで、僕が死んだ後の揉めごとを増やすだけです。
「お金を自分のために使う」という考えを捨てれば、他の人のために使う選択肢が広がる。
僕にとってはこっちのほうが気持ちがいい。
誰かに差し出された〝必需品゛ではなく、自分の心が「価値がある」と感じられたものに、お金を使いたい。そんな感覚があります。

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既にある価値に対して、お金を使うのではなく、自分で価値を創造したくなるほどの心動かされるものに対してお金を使うという考え方は、中野義壽氏自身が、まさにアーティストなのではないだろうかとも思えます。
自分のためにお金を使うという考えを捨てることで、他人のために使う際の単なる値決めのようなものではなく、新たな価値の創造が起こり、ひいては世のためになるのだと考えます。

本書を読み終えて kou’s書籍レビュー

今日がすべて。颯爽と軽やかに、ぜんぶ捨てれば。
明日地球が滅びるかもしれないし、誰かをあてにしてもしょうがない。
自分を花開かせることができるのは、自分自身に他ならない。
すべては因果応報。将来をつくるのは、今日の自分。
今日の自分を妨げるものはぜんぶ捨てて、颯爽と軽やかに歩いて行こうじゃありませんか。

本書を読み終えて印象強く感じたのは、中野義壽氏自身が自分の信念に忠実であることで、思考、行動ともに徹底的にシンプルであることです。
それは決して、傲慢さや、わがままなどでは無く、自身の決断の先にある、新たな価値の創造を見据えた上での生産的な思考であると考えます。
その思考や行動には、一点の曇りなど無く、透明感さえ感じられます。

タイトルにあるように、「捨てる」ことで生まれる新たな価値にフォーカスして行動することで、より一層、個々の人生を豊かなものにしていけるのではないでしょうか。

kou
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社会人として活躍されている全ての人にお勧めします!
しなやかに力強く生きていけるヒントがたっぷり詰まった本書を手に取って頂き、それぞれの人生をより豊かなものにして頂きたい!
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

ぜんぶ捨てれば kou'sレビュー
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