他人の期待に応えない ありのままで生きるレッスン 書籍レビュー

他人の期待に応えない kou'sレビュー Kou’s特選!おすすめ本
著者/清水 研 発行所/SEクリエイティブ株式会社

ありのままで生きるとは

今回紹介する書籍は、「他人の期待に応えない」というタイトルの書籍で、よくある自己啓発書と思い読み進めると、ちょっと違うことに気付きます。
がん患者専門の精神科医である筆者による、死生観を切り口に人生を見つめなおす内容となっています。
ミドルエイジ(中年期)に差し掛かり、体力の衰えや、理想と現実の乖離など、同じような悩みを抱えているミドル世代は多いのではないでしょうか。
本書では精神科医としての知見から、「老い」や「死」というテーマにしっかりと向き合い、それぞれ自身のこれまでと、これからの生き方を考えていくことで、新たな人生観を見出していきます。

kou
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読み初めは「老い」と「死」などというテーマに、違和感を感じたり、なかには、嫌悪感を抱く方もいらっしゃるかもしれませんが、是非本書を手に取って頂き、その違和感の「正体」と向き合って欲しいと考えます。

人生とは、幾つになっても学び成長し、成長こそが人生であって生きる糧だ。将来の自分は今よりももっと成長し、世のために活躍しているはずだ。

勤勉で、責任感の強い人ほどこのような価値観を長年持ち続けている人は少なくないのではないでしょうか。
しかし、この当たり前に持ち続けてきた価値観と改めて向かい合わなければならない時期が少年期から青年期、そして中年期への移行期にやって来るとあります。

本書において、「ミドルエイジクライシス(中年の危機)」として位置付けられているこの時期は、これまでの自分自身を振り返る中、「自分の人生は、このままでいいのだろうか?」との疑問が頭に浮かび、今後の人生を思うと、不安や葛藤を抱え、精神的に不安定な状態に陥ってしまう人が、40代くらいのからの症状として少なくないといいます。
人生の中盤を迎え、人生の前半に描いていた、「自分は成長し続けられる」は〝幻想〟であり、その価値観を改めて吟味しなおすタイミング、そして手放すことを受け入れる必要があると述べています。
本書では、ミドルエイジクライシスにある人々に向けて「幸せな人生」を送るために必要なことを、筆者である、がん患者専門の精神科医としての知見をもとに、筆者自身のミドルエイジクライシス経験をも交えながら明らかにしていきます。
病に罹患され、改めて「人生は有限である」ということを意識された方々との様々なエピソードから、人それぞれに与えられた、限られた時間の重み、生きていることへの感謝、一日一日の大切さを考えていきます。

限られた時間を意識する

限られた時間を意識することは「自分は成長し続けられる」という"幻想"を手放すことになり、誰しもいつか来る「死」を意識することで、一日一日を生きることの貴重さと人生に対する感謝につながり、また、「社会に適応して成功すれば幸せになれる」という"幻想"をも手放すことで、自己肯定でき、自分らしく生きることができるとあります。

MASTとWANT

人は、成長の過程において、親の考え方や育った環境の中で、「~あるべきだ」「~しなければならない」など、社会的に適合するための「MUST(~しなければならない)」の考え方を植え付けられていきます。
幼い頃にある、気持ちのままの「WANT(~したい)」自分と、大人になるにつれ、社会的に適合するための「MUST(~しなければならない)」との2つの自分が形成され、「MUST(~しなければならない)」に支配されていくと苦しくなるとしています。

ミドルエイジクライシス 中年の危機とは

「ミドルエイジクライシス(中年の危機)」から脱するには、名誉や地位、社会的適合に奔走するための「MUST」の自分から、気持ちのまま生きる「WANT」の自分へとシフトすることが必要で、そのためには、食べたいものを食べたり、書店をぶらぶらして心がワクワクした本を選んでみたり、心の赴くまま行き当たりばったりするなど、目的や時間の制限を決めず、自分の心がどこにワクワクするのか「WANT(~したい)」の声を意識して聴くことが大切であるとしています。

ミドルエイジクライシス(中年の危機)からの脱出

毎日のおいしい食事がとれることのありがたさや、湯船につかった時に気持ちよさを感じたり、歩いたり、走ったりすることのできる「五体満足」である体と、誰しも目を背けたくもあろう「老い」や、「死」を受け入れることで気付くことのできる"あたりまえ"にある一日一日への「感謝」に気付けた時こそが、「ミドルエイジクライシス(中年の危機)」から脱することができた第一歩なのかもしれません。

本書を読み終えて kou’s書籍レビュー

「老い」「死」など、大変デリケートなテーマですが、若者や健常者であれば尚、面と向かい合うのには躊躇するテーマだといえます。
しかし、人は皆、人生に与えられた時間は有限であるということは認識しながらも、真剣に向かい合って考えるのを無意識のうちに先送りにしてしまっているのではないでしょうか。
ミドル世代を迎え、様々に自分の思いや理想と乖離していく現実を突きつけられるごとに、改めて「老い」「死」などの普遍的テーマにどのような姿勢で向かい合うのかで、その後の人生の幸福度が決まると言ってもいいのではないかと考えます。

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是非、本書を手に取って頂き、誰しもに平等に訪れる「老い」や「死」という普遍的テーマについてじっくりと考え、自身の人生を顧みる機会にしてみてはいかがでしょうか。
その先には、また改めて生きていく上での新たな価値感がきっと見出されるものと考えます。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

他人の期待に応えない kou'sレビュー
他人の期待に応えない kou’sレビュー

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