「百田尚樹の新・相対性理論」書籍から読み解く目からウロコの時間と人生論4選

百田尚樹の新・相対性理論 kou's書籍レビュー Kou’s特選!おすすめ本

相対性理論というと真っ先に想像するのは、ドイツの物理学者であるアルベルト・アインシュタインが提唱した相対性理論を真っ先に思い浮かべます。

時間と空間との概念ともいえますが、本書では、より良く生きるための「時間」への考え方として、著者独自の「新・相対性理論」として位置付けています。

私たちの誰しもが共有する「時間」に焦点しょうてんを当て、人類が本能的に持っている、生への執着しゅうちゃく、生きることの意味と目的を掘り下げていきます。

百田 尚樹(ひゃくた なおき、1956年(昭和31年)2月23日 – )は、日本の放送作家、小説家。代表作に『永遠の0』や『海賊と呼ばれた男』などがある。

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人生と時間の関係

人類が歩んできた進化と文明の発展の歴史をみましても、文化の発展とともに、平均寿命の延長えんちょうも確実に成し遂げてきています。

縄文時代の平均寿命は、15歳前後ともいわれ、江戸時代では40歳前後が人の平均寿命であったそうです。

私たちが生きる現代では平均男性81歳前後、女性87歳前後となり、文明の発展とはまさに「人生の持ち時間の延長作業えんちょうさぎょう」といってもいいのではないのでしょうか。

人生はイコール「時間」であって、人は皆、自分に与えられた人生という「時間」を消費しながら、確実にやって来る「死」に向かって生きています。

人はいつ死をむかえるか個々に知るすべはありませんが、いつか来る死をなるべく遠ざけたいというせいへの執着しゅうちゃくの本能から考え出されてきたのが、高度な技術や便利な道具にあるといえます。

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例えば、狩猟時代にはもともと素手であったであろう狩りの方法に、ヤリやオノなどを作り出し用いることで、より狩猟時間の短縮に成功したといえます。

その短縮して生まれた時間によって、より効率の良い道具の発明や、家族との親交の時間を増やすこともできたでしょう。

同じ時間であっても今まで2時間かかっていた作業を1時間でできるようにするということは別の考え方をすれば、倍の時間を生きることができているといえます。

便利で効率の良い結果を得るための道具の発明は現代においても変わらず続けられています。
それは、人類が決して逃れることのできない「死」という恐怖からできる限り遠ざかるための苦肉くにくさくとも考えられるのではないでしょうか。

「人生」=「時間」

「時は金なり(Time is money)」という言葉を思い出します。
アメリカ建国の父として有名な、ベンジャミン・フランクリンが提唱しました。
しかし、この言葉を直訳して解釈するのは早計です。

この言葉の真意は、「機会費用損失きかいひようそんしつの防止」を訴えています。
今この時間を別の選択をして使えば、得られるであろう利益を意識して常に念頭ねんとうに置きながら行動することの価値と重要性を言っています。

人生の時間は限られています。
古代の人たちがまさに命を張って作り出してきた、限りある人生の時間を有効にするための道具や考え方を取り入れない手はありません。

そこに気づき、有効活用できる人こそが自分の人生の時間を倍にもそれ以上の時間とすることができ、豊かに生きられるともいえるのではないでしょうか。

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新・相対性理論

私たちは日常の生活の中で、時間の売買ばいばいを繰り返しています。
労働力を元手に、自分の欲しい情報や商品と価値の交換をしながら生きています。

私たちは、より良いサービスや、より多くの商品を手に入れるための手段を得るために、さらにより効率の良い作業方法を考えます。
それは、他人が試行錯誤しこうさくごして生み出した「時間」を、自分が試行錯誤しこうさくごして作り出した「時間」売って手に入れているものといえます。

今、所有している物、家族や自分自身の今の容姿でさえ、時間という価値を交換し合うことによって作り出してきたともいえます。
しかしその営みの中にこそ、これまでの生成発展があり、これからも人類が存続そんぞくする以上、限りなく続いていく活動といえます。

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人生=時間=命

私たちが最も大切にすべきは「時間」であり、「時間」こそが「命」であるといっても過言ではありません。

現在では、働き方改革により労働時間が短くなる傾向にあります。
しかし、せっかく空いた時間を他人の時間を買うために使っている人が多いのではないでしょうか。

人が最も恐れるのが、何の価値も生み出すことのない「退屈たいくつ」な状態だといわれます。
その「退屈たいくつ」から逃れるために多くの人たちが、現実から目を背けようと、自分に与えられた限りある時間を、目先の快楽のための他人の時間を買い利用することで、ごまかしてしまっているといえます。

他人の時間を買うとは、他人が時間を使って作り出した商品やサービスを、自分の時間を使って得た価値を対価として、交換するということです。
近年では、「YouTube」、定額制の映画視聴サービス、スマホゲームに1日中興じるなどがこれにあたります。

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もちろん人生の中では、遊びや余興を持つことでストレス発散となり、心にも余裕が生まれますし、決して否定するものではありません。

しかしどうせなら、そういった遊びや余興よきょうの時間を含めても、将来的に自分の価値を総合的に高める方向へと舵をとっていきたいものです。

時間を制す

バニ
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ここでちょっとブレイクタイム!

「時間」というテーマを語るうえで、ぜひ観て頂きたい映画があります!
『インターステラー』です!

簡単に紹介させていただきます!

インターステラー(原題: Interstellar)
クリストファー・ノーラン監督による2014年のSF映画です。
クリストファー・ノーラン(Christopher Nolan, 1970年7月30日 -)は、イギリス出身の映画監督・映画プロデューサー・脚本家。
【主な作品】
『メメント』
『ダークナイト トリロジー』
『インセプション』
『インターステラー』
『ダンケルク』
『TENET テネット』など

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バニ
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惑星間航行にかかる時間と距離、異星の重力と時間の関係がストーリーの根幹となっていて、物理学的な考証も練りこまれていてとても見ごたえがあります。

まだ見ぬ新たな惑星を探検するワクワク感もさることながら、地球に残してきた家族との絆も重要なテーマとして描かれていて、時間と距離を越えてどのように交流を図るのかも見どころです。

人類滅亡が近い地球に代わる新天地となる星は見つかるのか。
滅亡迫る、地球に残してきた家族は無事でいるのか。
果てしない宇宙のかなたで人々の思いが交錯し、より深まっていく謎・・・

物語の結末をぜひその目でに確かめてみてはいかがでしょうか。

SF好きはもちろん、哲学や物理学などのネタに興味がある方にぜひおすすめしたい映画です!

序盤ストーリー
近未来。巨大砂嵐が日常的に発生する異常気象により地球規模で植物・農作物の大量枯死が発生し、人類は滅亡の危機に晒されていた。
元宇宙飛行士クーパーは、義父と15歳の息子トム、10歳の娘マーフィー(マーフ)とともにトウモロコシ農場を営んでいる。

マーフは自分の部屋の本棚から本が勝手に落ちる現象を幽霊のせいだと信じていたが、ある日クーパーはそれが何者かによる重力波を使った二進数のメッセージではないかと気が付く。
クーパーとマーフはメッセージを解読し、それが指し示している秘密施設にたどり着くが、最高機密に触れたとして身柄を拘束される。

そこでクーパーはかつての仕事仲間のブランド教授と再会し、大昔に無くなったはずのNASAが秘密裏に復活し活動を続けていることを知らされる。
NASAは土星近傍のワームホールを通り抜けて、別の銀河に人類の新天地を求めるプロジェクト――ラザロ計画を遂行していたのだった。

48年前に”彼ら”と呼ばれる存在によって創造されたと考えられているワームホールを通過しすることで、人類の移住可能性が見込める12の惑星に1名ずつ探索者が送り込まれており、すでに3名の先駆者達が、入植が期待できる惑星から信号を送り返している。教授は、第二の地球となり得る惑星を探すミッションにパイロットとして参加するようクーパーを説得する。

帰還できたとしてもそれがいつなのか不明なミッションに、マーフは激しく反対する。クーパーはマーフとの和解の機会を得られないまま、出発の日を迎えてしまう。クーパーはマーフに「必ず戻ってくる」とだけ言い残し、ブランド教授の娘のアメリア、リー、ドイルの3名の博士と共に、人工知能ロボットTARSを乗せた最後の探査船レインジャーに搭乗し地球を後にする。

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成功の秘訣

人類の生成発展の原動力は、決して逃れることができない「死への恐怖」にあることは前述したとおりです。
そして進化や進歩というのも、不便さの克服の結果としてあるということです。

それらの行動の先にあるのは、未来をより良いものにしたいという願望からくるものではないでしょうか。

私たちは、過去を振り返ることはできても、やり直すことはできません。
しかし未来を思い描き、創造していくことは可能です。

古代の人々もそのことを理解していたからこそ、自分たちの暮らしがより利便性が増すよう様々に創意工夫を施すことで、未来がさらに便利になるよう希望を見ていたのではないでしょうか。

そうして受け継がれてきた私たちが生きる現代社会においても、未来に向けて今できることをすべきだと考えます。

その創意工夫と行動のひとつひとつが、我が身のみならず、未来を生きる人々にとっても豊かで生きやすい世界を創りだす一助となります。

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本書を読み終えて kou’s書籍レビュー

タイトルの「新・相対性理論」といっても、遠い異次元の内容というような難しいものではありません。

著者なりの時間に対する考え方を人類の進化の歴史を振り返りながら、現代に生きる私たちの生き方をより良くするために、どう応用できるかを考えます。

人生を生きるとは時間を生きるということであり、1日が24時間であったとしても、思考や行動の工夫次第では、24時間が何倍の時間にもなり得ます。

そのような思考で生きる人にとって、1日は物理的には24時間であっても、本人にとっては48時間にも72時間にも値する「価値」となります。

自分が人生という限られた時間の中で豊かになるための努力と創意工夫に励むことが、結果としてより良い未来へと受け継がれていくのではないでしょうか。

古の人々が私たちよりもはるかに短い寿命の中でも豊かに生きるため、様々に創意工夫をし考え行動した結果が、現代の私たちの豊かな暮らしに継承けいしょうされています。

そうして受け継がれたこの世界に生まれた私たちににとって、どうしたら自分らしく豊かに生きられるのかというテーマは、より良い未来創造のための重要な課題でもあり、同時に「使命しめい」なのではないかと考えます。

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人間は時として、怠惰たいだな生き物です。
「なんとなくボーっと過ごしてしまった」
「これをやろうと決めていたのに他ごとに費やしてしまった」

このようなことは誰にも経験はあるのではないでしょうか。
もちろん常に気が張り詰めた状態で生きるのは息苦しくもありますし、多少の心の余裕や遊びは心の余裕を持つためにも必要でしょう。

意思のある時間の使い方であるなら問題ありませんが、後悔しない時間の使い方を心掛けることが大切です。

人生は時間そのものです。
自分に与えられた限りある時間は、自分のためはもちろん、周囲の人たちを幸せにすることにこそあるのではないでしょうか。

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「時は金なり(Time is money)」
今、この時間を無駄にしないことで目的を達成できる利益や価値。

あらためてこの言葉について、お金で時間を買うという逆の視点で考えてみますと、得られる価値もありそうです。
例えば―――
●家事代行を頼めば自分の時間を確保できます。
●高速道路などの有料道路を利用することで所要時間の短縮ができます。

など、お金で時間を買うことはできますが、それは未来の時間に限ってです。

多くの夢を持ち、可能性に満ちあふれていた幼い記憶。
すべてが眩しく、新鮮な体験に感動していた青春時代。

過去の時間は、お金をいくら積み増しても絶対に買い戻すことはできません。

しかし、悲観ひかんすることはありません。
今日が、一番若い日です!

人生は時間そのものです。
今、目の前にある時間こそ、コントロール可能なのです!

これまでの時間に対する思い込みや常識を一新させることになるであろう、「新・相対性理論」を芯まで味わってみてはいかがでしょうか。

バニ
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「時間」というテーマを語るうえで、ぜひ観て頂きたい映画!
『インターステラー』
SF好きはもちろん、哲学や物理学などのネタに興味がある方にぜひおすすめしたい映画です!

百田尚樹の新・相対性理論 kou's書籍レビュー
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