日々の生活の中、さまざまな場面で不平等だと感じることや、努力は報われると信じて多くの人々が奮闘されています。
勤勉でまじめな人ほど不平等さに悩み、努力の割に報われないと考えます。
結果、人をねたみ、世間をうらやみ、悶々として過ごす方が多くいらっしゃいます。
「世間は平等であるべきだ」
「人は公平であるべきだ」
「努力は必ず報われるはずだ」
このように考える人にこそ、本書をおすすめします。
著者/川北義則 発行所/PHP研究所
川北義則
1935年、大阪府生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業後、東京スポーツ新聞社に入社。文化部長、出版部長を歴任する。77年に同社を退社後は、独立して日本クリエート社を設立。出版プロデューサーとして活躍するとともに、生活経済評論家として執筆・講演活動を行う。主な著書は、『男の品格』『男の生き方』『みっともない老い方』(以上、PHP研究所)、『「20代」でやっておきたいこと』(三笠書房)、『男は人とどうつきあうべきか」(大和書房)など、100冊を超える。
(PHP研究所interface より引用)

「いい加減」な人はトク?「いい人」はソンしている?
本書を読み終えたら、もう一度自分に問いかけてみましょう。
「世間は平等であるべきなのだろうか?」
「人と比較すべきなのだろうか?」
「努力は必ず報われるのだろうか?」
この問いに対する答えが本書の中にみつかることでしょう。
本書では、「生き方上手」と「生き方下手」それぞれの思考・行動傾向をもとに分析していきます。
「生き方上手」とは?
「生き方下手」とは?

プラス思考とは何なのか?
自分の身に起きたことはすべて「必要」「必然」と受けとめる。
自分の身に起きたことを何でもプラスに捉えようとする。
「プラス思考でいこう」
「何事もプラスに考えよう」
と考え、問題に対応していった経験はありませんか?
本書では、この「プラス思考」とは一体どういうもので、心の奥底では本当にそのように「プラス」に考えられているのだろうかと疑問を投げかけます。
有名な例えとして――――

コップに水が半分入っている。
「半分しか入っていない」か、
「まだ半分も入っている」と考えるか。
「半分しか入っていない」がマイナス思考
「まだ半分も入っている」がプラス思考
理解はしていても、本当にそう思えていますか?
本当は「半分しか入っていない」と考えたのに、「まだ半分も入っている」と自分の心にウソをついてはいませんか?
このような思考は本当の「プラス思考」ではありません。
「自分の身に起きたことはすべて「必要」「必然」と受けとめる。」
この考え方が、究極のプラス思考だと提言します。
良いも悪いもすべては自分にとって必要必然であると受け入れ、人生に活かすことです。
一見、いやな出来事や不幸とも思えることが起きたときに、「自分にとって必要で必然である」と考えることは少し勇気がいりますが、自分の本音を偽ることなく、すべてをありのままに受け入れて生きていきましょう。
このような、しなやかな生き方こそが、本物の「プラス思考」なのです。

本当の努力とは?
「努力している」と思っていない
「努力しているのに……」と思っている
「努力しているが、どうにも結果がついてこない」
「努力だけは、認めてほしい」
このように考えたりしたことはありませんか?
同情はできても、認めるとなると困りませんか?
では、「努力」とはいったい何?
人に認められたいがための行動や思考は「承認欲求」であって、努力とはいえません。
この承認欲求については、
(「嫌われる勇気」アンドリュー・カーネギー/著 ダイヤモンド社)が、参考になるでしょう
ましてやそこに結果がともなっていなければ、なおのことです。
「のほほん」と過ごしているようにみえる人間が、なかなか良い結果を残しているようなケースなどよくあります。
他人と比べ、不平不満を言うのではなく、むしろ、思いきってその秘訣を訪ねてみるような謙虚さを持ちましょう。
心身とも余裕のある人ほど誰区別することなく、おしげもなくアドバイスをくれたりするものです。
世の中は結果がすべてともいえます。
かの、本田技研工業創設者の本田宗一郎氏は、
「努力はその時の情勢にもっとも緊急の効力を生んではじめて努力として認められる。努力したが、結果は駄目だったでは努力したことにはならないのだ。」と、語っています。
(「やりたいことをやれ」本田宗一郎 PHP研究所)
では、いったいどうすればいいのでしょうか。
まずは、そのことがらに懸命に取り組み、創意工夫をくりかえして改善に改善を重ねていくことです。
周囲からみれば大変そうでも、本人はまったく苦痛ではなく、むしろ楽しんでさえいる―――
そんな境地に至ったとき、行動が結果となってついてくるはずです。
努力を努力と考えず、寝食を忘れるくらい、そのことがらに打ち込めるようになれば本物です。

ピンチとチャンス
ピンチのときは武者震いしチャンスのときは用心する
ピンチのときは狼狽しチャンスのときは慢心する
ふいに訪れるチャンスと思えるとき、人はどのような心境になるでしょう―――
思わずやってきたラッキーな出来事に調子にのってしまい、かえって手も付けられない事態になってしまい、大きな痛手を負ってしまったなどという経験はありませんか?
人間とは、順境にあればついつい慢心してしまう性質を持ち合わせているようです。
ひとたび体調をくずせば、あらためて健康のありがたみが身に染みたなんていう経験は誰にもあるものです。
「勝って兜の緒を締めよ」
のことわざも示すとおり、身体が健康であればこそ慢心せず、なおしっかりと健康管理に努めておく習慣をつくっておくことが大切です。
順境なときこそ、いざという時に備えておくといった考え方で過ごすことで、ふいに訪れる危機をも回避していけるはずです。
松下電器産業創設者の松下幸之助氏も、ビジネスや生活の中においても余裕を持つことで、急場に備える「ダム経営」の考え方を提唱しています。
(「道をひらく」松下幸之助/著 PHP研究所)が参考になるでしょう。
ピンチを切り抜けられる考え方として、身の丈に応じた危機しか訪れないと理解することとが重要で、数十万円しか持たない人に数億円のピンチはやってこないともあります。
歩みをすすめれば、転ぶ危険ととなりあわせとなります。
しかし、歩みをすすめなければ前進も成長もありません。
ならば、転ばぬように用心し、転ばない方法を考えます。
そう考えると、いま目の前にあるピンチも必然必要なことで、自分にも乗り越えていけるものであるということとも理解できますし、ピンチに対して打開策を模索する行動そのものがさらに自分を成長させてくれるありがたい機会となります。
「ピンチはチャンス」ともいわれるように、一見、眉をひそめるような「ピンチ」の到来は、「チャンス」をたぐり寄せるためのきっかけにすぎません。
「ピンチ」も考え方によって、その持つ意味はまるで違うものとなります。

本書を読み終えて kou’s書籍レビュー
あなたは、日々を充実して生活できているでしょうか?
その満足度はどこから来ているものなのかを本書をきっかけに、じっくりと考えてみましょう。
仕事で出世すること?
趣味を充実させること?
家庭円満であること?
健康であること?
お金持ちになること?
満足を求める先は人それぞれでしょう。
満足を求めるということは、期待とも似ています。
自分は一生懸命がんばっている。
こんなに努力しているのに結果がでない。
想像したとおりにいかないし報われない。
―――などと多くの人は考えがちです。
しかし期待や願望というものは一方的な思いでしかありません。
そのような刹那的な日々に失望することもあるでしょう。
そんなときは、思い切って肩の力を抜いて、何が起きるか様子をみてみましょう。
真面目に、実直に生きてきた人ならとても勇気のいる行動ですが、試す価値はあります。
行動を変えれば習慣が変わり、習慣が変わると人生が変わります。
新たな自分像や、今まで考えもしなかった価値観に気づくことができるはずです。

自分の人生を生ききるとは、理想の世界を思い描き行動し続けることです。
強い意志を持ちながらも、時にしなやかに柔軟に考え行動する。
そのような生き方は、「疲れたら立ち止まる」「気分転換に遠回りをしてみたりする」などの心の余裕すら生みます。
本書を読むことで、あらためて自身の生き方が窮屈になっていないかどうか今一度振り返ってみるきっかけにしましょう。
身体のしなやかさを保つことでケガを予防することができるように、心のしなやかさを育み保つことで、思考も柔軟になります。
多くの場面で「トクをしている人」というのは、そんな「やわらか頭」で人生を子供のように無邪気に楽しんで生きている人です。
しなやかで柔軟な思考を持った人は、多くの人々から好かれます。
そんなやわらかく、遊びのある生き方を選んでいきましょう。
本書がそのヒントをみつけるきっかけになれば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。。。


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