人生100年時代ともいわれる昨今。
50歳は、人生の折り返し地点ともいえます。
これまで歩んできた道のりをふりかえり、後半戦にむけての準備地点ともなります。
仕事においても、変化を求められる一つの節目となるのではないでしょうか。
これまで培ってきた知識と経験をもとに、さらなるキャリアを形成する道。
または、職場の「生き字引」として後進の育成にたずさわる道。
しかし・・・・・
意気揚々と未来を模索していても、ふと不安がよぎってくるのではないでしょうか。
「人生100年時代」といっても、実際に健康な身体でいられるのはいつまでなのだろうかと。

年々体力は落ちていくでしょうし、記憶力の低下なども実感するでしょう。
気力も体力も若い時のように維持するのは難しくなります。
人生の後半戦をむかえるにあたって、精神的、身体的にも前半戦とはまるで別世界となるでしょう。
日が昇り、光の中、行くべき道の地を切り開き、種をまくのが前半戦。
太陽が頂点から傾き、日没にむけての準備と、残すべきを後進に託す収穫期ともいえるのが後半戦。
人生の節目に立ち、希望とともにある、悩み、葛藤と、どう向き合っていけばよいのか。
本書には、50歳からの仕事への向かい合い方と生き方などの、道しるべやヒントがあります。
大塚寿(おおつかひさし)
1962年、群馬県生まれ。株式会社リクルートを経て、サンダーバード国際経営大学院でMBA取得。現在、オーダーメイド型企業研修を展開するエマメイコーポレーション代表取締役。
「40代を後悔しない50のリスト」(ダイヤモンド社)
「できる40代は、「これ」しかやらない」(PHP研究所)など。

50歳からは「これ」しかやらない レビュー
本書は全6章で構成されています。
- 第1章 「定年」真正面から向き合い、準備する。
- 第2章 後悔しない定年後のための「いい会社人生の終わらせ方」
- 第3章 50代で必ず手放すべき六つのこと
- 第4章 転職・再就職‥‥定年後のキャリアで後悔しないために
- 第5章 すべての「人間関係」を50代で再構築せよ
- 第6章 50代で「一生勉強する自分」を手に入れよう

レビュー 第1章 「定年」と真正面から向き合い、準備する
学生時代以来の「人生の選択」を迫られるのが50代
もう取り返しがつかないのなら、後悔はしても「焦る」という感情は持ち得ません。
何かができるのに、何をやっていいかわからない。
つまり50代の「焦り」の正体は「迷い」なのです。

会社員にとっては、正直、認めたくはない現実があります。
「定年」
若い頃は、いつか来るであろうが、まだ遠くにあるものでした。
しかし、「定年」を射程範囲にとらえた50代だからこそ、これからの10年あまりの生き方をみつめなおす機会ともなります。
実際に50代になってみると「定年」は、ありのままの現実を辛辣に突き付けてきます。
仕事に没頭すればするほど、モヤモヤしたり、とりとめのない焦りを感じるのではないでしょうか。
それは30年あまりの社会経験、蓄積された技術、技量がありながらも、十分に評価されず出しきれていないことからくる、劣等感によるものかもしれません。
焦りや劣等感から抜け出すにはどうしたらよいのでしょうか。
それは、「すべきこと」の取捨選択がキーワードとなります。

レビュー 第2章 50代で準備しておきたいこと
「出世競争から降りた人」のほうが楽しそうという現実
私の経験上、50代あるいはそれ以前で「出世競争から降りた人」のほうが、最後まで出世レースに参加した人よりも明らかに楽しい定年後を送っているからです。

家庭も、自分の時間も後まわしで、会社優先、仕事仕事で突っ走ってきた。
すべて家族の幸せと信じ、仕事優先で生きてきた。
これは50代で会社勤めが長い人ほど、見つめなおす課題といえます。
40代までは会社に忠誠をつくすことで、出世の道の可能性もあるでしょう。
50代ともなればその可能性の芽は限りなく低いものとなります。
ならば、これからの人生は自分を優先して生きていってはいかがでしょう。
いい意味での「開き直り」がキーワードです。
ここから先10年後20年後の自分へ、今ある時間とエネルギーを投資していくのです。
ご自身の未来は、ご自身以外につくりあげていくことはできません。
真剣に考えるべき時がきています。

レビュー 第3章 50代で手放すべき6つのこと
上を目指さないなら、経営スキルはばっさり切り捨てる
人を引っ張っていくのが苦手なら、もうそれは諦めてしまう。
どうしても数字が苦手なら、もういっそ数字は読まなくていいと達観する。
50代以降は「苦手なものをなくす」という発想をやめてしまうということです。

50代ではさらなる出世の可能性、会社組織撫での立場なども見えてきているかもしれません。
定年を見据え、新たなキャリアを形成する道や、別の生き方を模索もするでしょう。
やがてむかえるであろう定年後の人生設計は、人それぞれ。
答えも一つではありません。
しかし持ち時間は決して潤沢にあるとは言い難く、活かすべきスキルの取捨選択が必要になってきます。
20代、30代、40代と歳を追うごとにつれ、現場やマネジメントのスキルを拡大しつつ取り組んできたのではないでしょうか。
しかしそのような思考は、組織でさらなるキャリアアップを目指すケース以外は、無用の長物となってしまう可能性があります。
50代になった今、その拡大志向は捨て去ってしまおうということです。
熟達したスキルを持っているからこそ取捨選択をし、より自分が得意で強みといえるもの以外は思い切って「捨てる」ということです。

レビュー 第4章 転職・再就職…定年後のキャリアで後悔しないために
50代は定年後の「根回し」の時間だ
転職する・しないにかかわらず、その準備をして「転職できる自分」にしておくことは、あらゆるビジネスパーソンに求められることなのです。

転職・再雇用、趣味に生きるなど、定年後の選択肢は人それぞれでしょう。
50代の今だからこそ、定年後のロードマップを描いてみます。
3年後、5年後、10年後、ご自身の考え方や価値観は変化しているでしょう。
ロードマップは、様々な可能性を想定しておきましょう。
強みや得意分野をいかして雑務をこなすマルチタスクの能力を磨いておく。
人脈を社外やコミュニティにも広く持っておく。
特技や特別なスキルがあれば、さらに磨いておけば、思いもよらない新たな道がひらけるかもしれません。
他の人にはないスキル、強み、経験が自身を輝かせます。
社内などという小さな世界に固執することなく、自由に広く行動してみましょう。
定年後の生き方がキラキラと輝きだし、楽しみになってきます。

レビュー 第5章 すべての「人間関係」を50代で再構築せよ
多くの男性が陥る「居場所がない症候群」
「定年後になって初めて、『居場所がある』ことの重要性に気づいた」
会社員として勤め上げて定年を迎えた人から、このような話をよく聞きます。
「予定があることがいかに幸せか」
このような声もよく聞きます。「予定がないことは拷問のように辛い」という人すらいます。
離れてみて初めて、会社というコミュニティに所属していることの重要性に気づいたということでしょう。

定年退職したとたん、精気を失い元気がなくなる人というのはよく聞く話です。
毎日同じ時間に起床して、同じ時間に家を出て、同じ時間に会社に出勤する。
何十年と、このルーティンを淡々と繰り返してきた人にとっては、ある日突然、心ににぽっかりと穴があいてしまったようなものなのでしょう。
これまで仕事の苦楽すべてが、ある意味生きがいであり生活の糧でした。
しかし、その仕事から離れてしまえば、別の考え方や生き方を求められます。
それならば、50代のうちに会社以外の世界をでき得るかぎり広げておくのが効果的です。
50代は、定年という来たるべき変化を受けいれるための準備期間として、考え行動するタイミングです。

レビュー 第6章 「50代で一生勉強する自分」を手に入れよう
勉強をしない人は一気に老ける?
「学び続ける者はいつまでも若い」(Anyone who keeps learning stays young.)はヘンリー・フォードの名言ですが、逆に、勉強することを忘れてしまった人は急速に老けていくように思います。
自分を若く保つためにも、「勉強する習慣」をぜひ、50代のうちにつけてほしいと思います。

「勉強」というと「つらいもの」というイメージがあれば、それはまったくの偏見です。
日々、勉強をしている人は、むしろ勉強を楽しんでいるかのようです。
勉強を楽しんでいる人は、もはや勉強しているなどと自覚していません。
それは好きなことや、興味のあることの勉強をしているからです。
好きなことや、興味のあることの勉強なら続けられます。
勉強のよいところは、知見が広がります。
知見が増えることで、人に教えてあげられます。
分からないことがあっても、知っている人に聞けば新たな出会いとなります。
なによりも、勉強することで謙虚になれます。
謙虚になれることで、コミュニティなどにも抵抗感がなくなって出会いが広がります。
定年後を見すえた勉強は、人生にとってプラスしかありません。
さあ、勉強しましょう!

本書を読み終えて まとめ&レビュー
仕事の目的は人それぞれでありながらも、自分の評価を上げることが幸せにつながると信じ、頑張ってこられたのではないでしょうか。
しかし50代をむかえたこれからは、定年後の自分をイメージし、自分で評価する目線に切り替えていきましょう。
そもそも会社員である私たちは、労働力を提供してその対価として報酬を受けとるという「契約関係」にあるはずです。
ところが気がつくと、会社や仕事優先の生き方となってしまってきたのではないでしょうか。

会社では、「上下関係」の軋轢や「愛社精神」などという言葉のもと、自分の時間や個性を犠牲にせざるを得ないことも数えきれなくありました。
そんな幾多の荒波を乗り越えてきた50代は、いよいよ自分をかえりみて定年後の生き方を考えるタイミングにあります。
転属、転勤、転職、親の介護、経済面、健康面など、50代が抱える悩みは多岐にわたります。
だからこそ、現役の最終コーナーである50代こそが、準備・行動できる最適なタイミングです。
50代こそ考え行動することで、定年後の未来こうありたい自分をより具体的にイメージできるようになるのではないでしょうか。

こうありたい自分を具体的にイメージできると、そのルートやゴールが設定できます。
未来をより具体的にイメージすることで、50代の不安は小さくなる。
むしろ、まだまだやれると可能性すら見出せるはず!

会社に新入社員として入社した日の記憶って、意外とよく覚えてるんじゃない?
まだ見ぬ新しい世界に、ちょっと大人になったような期待とワクワクがあったからだよね。
そのワクワク感をちょっと思い出してみようってこと!

さあ、まだ見ぬ新しい人生にワクワクしませんか?
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